【考察】少女漫画が女性の貞操観念へ与える影響【70-80年代編】

   

多くの女性が成長の過程で通る「少女漫画」が過激化していると囁かれる昨今…。貞操観念が日に日に薄れている日本において、自国が誇るエンタメコンテンツ「漫画」の影響は少なくないはず!そこで各年代の少女漫画の恋愛描写を見比べ、貞操観念の変遷との関わりを考察をしてみました。

  
ワンピースを着る綺麗な女性
LOVE

貞操観念への影響力を測るために…。

貞操観念とは、「女性が、異性関係について純潔を守ろうという考えのことを幅広く指す表現」(weblio辞書)です。最早耳にすることも少なくなったこの言葉にあえてスポットを当て、現代の「性の乱れ」と照らし合わせた結果、女性が幼少期〜中高生期に触れる「少女漫画」が影響しているのではないか?と言う一つの仮説にたどり着きました。
本稿では、各年代の少女漫画の代表作を考察材料に使うにあたり、まずは貞操観念に影響を与えうる3つの基軸を設けてみました。

(1)純愛度
1つ目は「純愛度」。これは、ヒロインの一途さをパロメータ化したもの。
漫画において起承転結を付けるために、複数のヒーローと絡むことは免れません。
その中でもヒロインの『浮気性』と、自身の意志に基づいた上での『絡み』に注力し、ポイント化。
★★★:清純そのもの!!この作品のお陰で女性の貞操観念は守られた!!!
★★:“処女厨”からしたらビ○チ呼ばわりされそうだが、及第点はクリア…。
☆:紛うことなき尻軽ヒロインである!!

(2)エロくない度
2つ目は「エロくない度」。これは(1)の純愛度がメンタルに着眼しているのに比べ、よりフィジカルな描写に着目したもの。
★★★:キスまでで締める、まさに美しい清楚系漫画と言えよう。
★★:小学校低〜中学年にはまだ早いか?ちょっといやらしい気はするけれどセーフ!
★:男性もビックリのエロ描写!?少女漫画に掲載してよろしいのか?!

(3)夢見がち度
「少女たちに与える影響」という観点から、読者の現実から離れしている場合に加算されるパロメータ。小中学生でバリバリ恋愛モードって言うのもちょっと頂けないですからね!作品と読者間の適度な距離感の有無は重要です。
★★★:漫画として適度な距離感が取れている良作である!
★★:ちょっとリアリティがありながらも、ギリギリ距離を保っている…っっ!!!
★:生々しすぎる!!貞操観念が歪まれてしまうではないか!?

上記の3つの三段階評価を元に各年代の有名作品が当時の女子に与えた影響を考察します。

※ これらの評価はあくまで「貞操観念」に着眼したWitty編集部による独断と偏見によるものです。
紹介される全ての漫画が漫画界や女性に素晴らしい影響を与えていることに変わりはありません。

70年代は夢見がち度が高め。作品と現実のバランスが絶妙な純愛時代!

キャンディキャンディ (原作:水木杏子 / 作画:いがらしゆみこ)

ー作品概要ー
1975〜79年にかけて『なかよし』で連載されていた作品。
主人公のキャンディが孤児院から富豪の養女として引き取られ、その出生からいじめにあいながらも負けずに成長していくストーリー。中でもお金持ちの青年から好意を寄せられる少女漫画ヒロイン王道の「シンデレラストーリー」そのもの。

ー考察ー
時系列により都度異なるヒーローが現れヒロインがモテる、という定番の展開。その都度恋してしまう点は同性でも共感せざるを得ないし、また結果として初恋の相手(丘の上の王子さま)と結ばれる点からも、ヒロインとしても作品としても美しい恋愛像を世の少女に広めたと言えます。

純愛度:★★
エロくない度:★★★
夢見がち度:★★★
総評:A

ベルサイユのばら (作:池田理代子)

ー作品概要ー
1972〜73年『マーガレット』の連載作品で、『ベルばら』の愛称で今尚親しまれる不朽の名作。
男装の麗人と称される近衛士官のオスカル、その幼馴染で身分違いの恋に悩むアンドレ、そしてルイ16世の王妃マリーアントワネットという3人の主人公を中心に、フランス革命期のベルサイユを舞台とした史実に基づくフィクション作品。

ー考察ー
ヒロインが王子様や高貴な男性に恋をする作品が多い中、オスカルが平民アンドレを生涯の相手として選ぶのは、新しい少女漫画の形。また、ベルばらは「少女漫画で初めてのベッドシーンを描いた」作品と言われていますが、余命少ない二人が結ばれる状況は、より貞操観念を強めたと言っても過言ではありません。
もう一人のヒロイン、既婚者であるマリーアントワネットがフェルゼンと恋をするのは不倫とも取れますが、そもそもが政略結婚であり、不倫に寛容なフランス王宮にあって二人が結ばれるのは僅か1回。生涯独身を貫くフェルゼンの一途さもまた、美しい恋愛の形と言えるでしょう。

純愛度:★★★
エロくない度:★★
夢見がち度:★★★
総評:A
『ベルサイユのばら』を立ち読みする

ー70年代作品サマリーー
70年代の少女漫画は、煌びやかな絵が特徴的であり、リボンやフリルなど可愛らしいファッションと相まって、女の子に「憧れ」の感情を抱かせる傾向にあります。
性描写は含まれるものの、欧米を舞台にし作品と現実に適度な距離を持たせることで、「性行為=愛する人とするもの」と言う貞操観念を確固たるものにしたと言えるでしょう。

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青少年の性行動全国調査」によれば、1974年-81年は、中学女子に対する調査が行われないほどに「性の乱れ」と言う言葉からも縁遠く、過去40年近い歴史の中でも学生の性行経験率が少ない時代でもあります。

引用元:青少年の性行動全国調査 | 性交経験率の推移(日本性教育協会)

80年代は少女漫画が多様化。「女性らしさ」が変わりゆく時代。

ときめきトゥナイト (作:池野恋)

ー作品概要ー
1982〜94年に『りぼん』で連載された、恋愛要素にファンタジーや超能力が加わった壮大な世界観のラブストーリー。それぞれヒロインが異なる3部作となっている。中でも第1部のヒーロー真壁俊は、当時の女子にとって憧れの存在であり、後に『ときめきトゥナイト〜真壁俊の事情〜』と言うヒーロー目線のコミックが14年の時を経て発売されるほど、今尚根強い人気を誇る作品である。

ー考察ー
80年代作品として取り上げるにあたり、3部構成のうち1部を考察材料としますが、本作はヒロインもヒーローもとにかく一途!!両思いの二人が様々な障害を乗り越えていく構成上、ハッピーエンドに到るまでが長く、むしろ焦らされているような気分にもなってします。
二人が結ばれるシーンは感動であり、ピュアそのもの。文句のつけようのない理想的な恋愛少女漫画です。このシーンを見たら、どんな肉食系女子も乙女の顔に戻ってしまうはず…。

引用元: ribon60th.com 

純愛度:★★★
エロくない度:★★★
夢見がち度:★★★
総評:S
『ときめきトゥナイト』を立ち読みする

ホットロード (作:紡木たく)

ー作品概要ー
1986〜87年に『マーガレット』で連載された、紡木たくの代表作。父が他界し、母親には愛されず、非行に走るヒロイン和希と、暴走族NIGHTSに所属する春山の二人のラブストーリー。
恋愛要素はもちろん、世の中に必要とされていないという孤独を感じる二人がぶつかり合いながら愛を築いていく人間ドラマとしても見所が高い作品。2014年には能年玲奈と登坂広臣が主役となり実写映画化した。

ー考察ー
恋愛ゴリゴリな「ザ・少女漫画」とは一風変わった作風と呼べる本作。ヒーローが硬派な不良のため、恋愛も同様に硬派に展開されています。70年代作品に用いられる「憧れ」から「共感」に変わりながらも、漠然とした不安や不満が題材にありながら性に逃げないことが、本作の時代に貞操観念が色濃く残っていたことも想像できます。

純愛度:★★★
エロくない度:★★★
夢見がち度:★★
総評:A
『ホットロード』を立ち読みする

ー80年代作品サマリーー
「恋愛」がメインとされていた少女漫画において、SF要素や人間ドラマを交えた一風変わった作品が現れ、人気を集め始めたのが80年代。画風も70年代の西欧への憧れから、日本人寄りになりつつあります。
少女漫画に描かれる典型的な「乙女」から、女子のあり方が多様化していく転換期と言えるでしょう。

青少年の性行動全国調査」によれば、1987-93年は女子大生以上で性行経験率が徐々に高まる時代ですが、これは80年代後半に起こるバブル景気の影響も大きく、また平均初婚年齢も若いことから、一概に「少女漫画の影響で貞操観念が薄れ始めた」とは論じにくいところです。

この時点ではまだ中高生の性には変化が見られないものの、転換期となる80年代少女漫画が90年以降にどのような影響を与え、少女漫画が変貌を遂げるのか…。
次回は90年〜2000年代を掘り起こしていきます。



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Witty 編集部 メガネ

Witty編集部公式アカウントの二人目。 元広告代理店勤務で、現在はデザイン業務のディレクションを担当。 ビジネスとデザイン、少々のアダルトコンテンツを好む...

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